*コロツナ親子パラレル。







 つかっと




 ―――昼休み終了間際。
 いつも騒がしい教室が、今日は特別煩い。

 不機嫌に顔を顰めているのは金色の髪に青い目の少年だ。名前はコロネロと言う。見るものが見れば、折角の奇麗な顔が台無しだと悲しみそうなくらい整った顔をしている。
「何だ?その不細工な顔は。とうとう顔まで筋肉になったのか?」
「どういう意味だコラ!」
 元々顔には筋肉があるだろうが!と突っ込む。
 そんな事は相手も承知だ。そうではなく、普段から『脳味噌まで筋肉』と言って人を馬鹿にしているこの性格の悪い少年はその事を揶揄して言っている訳だ。いつも思うが、本当に性質が悪い。
 この少年の名前はリボーン。艶やかな黒髪に赤み掛かった切れ長の目。コロネロと同じくとても整った顔をしていた。因みに成績優秀、運動神経抜群。外面までいいという少々反則気味な少年である。(コロネロも成績は優秀だが、リボーンには及ばない。その分、運動系は勝っている)
「二人とも何してるんですか?そろそろ授業が始まりますよ」
「パシリ、ちょっと1km先の自販機でジュース買って来い。エスプレッソな」
「オレは炭酸系がいいぜコラ」
「人の話聞いてました!?授業始まるって言ってるじゃないですか!」
 凍りつく少年はリボーンと同じ黒髪に紫色の目をした少年だ。こちらも二人同様に整った顔をしている。名前はスカルと言う。
「分かってて言ってるに決まってんだろ」
「最悪じゃないですか!無理です!せめて授業が終わってからにして下さい!」
 リボーンが当然だと言わんばかりで言うと、スカルは慌ててそう言う。本当は諦めろと言いたいが、そんな事を言えば絶対無理にでも窓から放り投げられると知っているからだ。
「煩いよ。静かにしてくれない?」
 しかめっ面でそう言うのは通帳を真剣に眺めていたフードを深く被った少年だ。名前はマーモン。
「確かに煩いけど、周りは倍煩いからこっちを黙らせてもきっと煩いと思うよ」
 試験管を揺らしながら小さく息を吐くのは、珍しい緑掛かった髪にオレンジ色の目をしたやはり奇麗な少年。名前はヴェルデ。
「今日は午後から授業参観だからな。浮かれているんだろう」
 人事のように言うのはこの場で唯一の女の子である。長めの黒髪に鋭い目をした美少女だが、その態度や言葉遣いは丸きり少年だ。寧ろ、その辺の少年より余程男らしい。名前をラルという。
「あ、そうだ。先輩達は誰かくるんですか?」
 スカルが思い出したようにそう聞いた。同い年なのに他の面々を先輩付けするのは一番誕生日が遅いからだ。最初は理不尽だったが、理不尽の塊のような彼らに何を言っても無駄なので、今では諦めている。
 親が来るのか?ではなく、誰か来るのか?と聞いたのは彼ら全員、親がいない孤児だからだ。とは言っても、既に全員に里親がいるのでいるといえばいるのだが。
「僕の所はどうかな?正一が来るかもしれないけど」
 そう言ったのはヴェルデだ。正一とは彼の親代わりの従兄弟だ。親代わりは正直、問題のある人間なので来て欲しくない。
「僕の所は…来るのならスクアーロが来るかもね。多分、忙しいから来ないけど」
 そう言うのはマーモン。スクアーロは彼の親代わりの部下の1人だ。外見は明らかに一般人じゃないが、他のは見かけ所か中身が一般人、と言うより人間離れしているので問題外だろう。
「そう言う君の所は?」
「さぁ…誰が来るのか…」
 スカルは本気で首を傾げている。スカルの親代わりはとても忙しく、何でもかんでも人を雇うので一体誰が来るのか想像もつかないのだ。
「リボーン、君の所は?」
「さぁな。大方、ディーノが来るんじゃねぇか?」
 顔を背けてリボーンは素っ気無く答えが、大方どころか絶対来るに決まっている。
 昨日、張り切って『何着て行けばいいかな!?』と電話を掛けて来た世話役との会話を、無言のまま即座に切った記憶はまだ新しい。
「お前の所はどうなんだ?コロネロ」
 話を振られたコロネロは視線を逸らした。
「誰も来ねぇよ。そもそもある事自体、言ってないしな」
 そうコロネロが言った途端、予鈴が鳴り響く。











 コロネロにはちょっと間の抜けた親代わりがいる。

 その人の名は沢田綱吉。(通称ツナ)

 間が抜けた、でも優しくて温かくて、男の癖に可愛らしいその親代わりに、コロネロは心密かに恋心を抱いていた。
 いつかは自分がツナの横に立って守るんだ!と、コロネロは日々奮闘中だ。
 あまり好きではない勉強もやってるし、体も鍛えてるし、何よりせっせと牛乳を飲んでいる。
 だから、コロネロは年の割には背も大きいし、体格もいいし、しっかりしている。
 …まだ、身長は追い抜けていないが。

 そんな親代わりを知られたくはないコロネロは、今日ある授業参観を知らせていなかった。

 誰にも知られたくない。見せたくない。
 それは紛れもない本心だが、それ以上に嫌な予感もする。
 そして、自分の勘は外れた例がない。

 それに、はっきり言って恥ずかしい。
 コロネロはその人に子供じゃなくて、自分のパートナーとして見て貰いたいのだ。
 だから、その為に努力している姿は見せたくない。
 だって、カッコ悪いじゃないか。努力なんて、裏でしているからいいのであって、それを褒めて貰いたい訳じゃない。



 ―――ああ、なのに。



(………何で来てるんだコラァァァッ!)



 授業が始まり、ホッとしたのも束の間、ガラリと教室の扉が開いて1人の青年が入ってきた。
「ああ、良かった、間に合った…!スミマセン。遅刻しました」
 申し訳なさそうに息を切らして苦笑いを浮かべる。
 …授業参観に来た親がわざわざ『遅刻しました』と、謝る必要は何処にもない。
 何でいる!?と、愕然と目を見開き振り返ったコロネロに、来たよーとツナは笑顔で小さく手を振った。
 来たよー、じゃない!何で来るんだ!
 コロネロは痛む頭を押えて、泣きたい気持ちで前を向く。

『あ、あれってコロネロ先輩の保護者の方ですか!?』
 スカルが頬を紅潮させて興奮気味にヒソヒソ聞いてくる。

『…随分イイじゃねぇか。何で言わなかった?』
 リボーンが値踏みするように見て、口の端を上げる。

『本当にアレ、コロネロの?紹介してくださいよ!』
 薬品以外には滅多に興味を持たないヴェルデが目をキラキラさせて言ってくる。

『…ふーん』
 マーモンは特に興味なさそうに振舞いながらも、フードから覗く頬が薄っすらと染まっている。

『………いいな』
 そう言うのはラルで、何処か潤んだ目で呆然と見つめている。(授業中です)

(だから、見せたくなかったんだコラ…!!)
 コロネロは頭を抱えた。

 自分の悪友達は性格も何もかも違うのに、妙な所で自分と好みがソックリなのだから。



 ―――しかし、問題はそこではなかった。





 その数分後。

 ガラリ、と扉を開けて年若い整った容貌をした青年が入ってきた。
「ガハハ!隼人だー!」
 そう言って振り返った緑色の目にクセッ毛の可愛らしい少年に、馬鹿牛ちゃんと前見てろ!と怒鳴り、彼は何事もなかったように教室の後ろに立った。
 整った容姿だが、雰囲気がピリピリしているので誰も話しかけない。(年若い母親達はソワソワと話したそうにしているが)
「獄寺君」
 そんな彼に小声で話しかけたのはツナだ。声を掛けられ振り返った途端、それまで不機嫌そうだがキリッとしていた男の顔が崩れた。
「沢田さん!来てらっしゃったんですね!お疲れ様です!」
 教室に響き渡る声で挨拶をし、90度の角度で獄寺はお辞儀する。
「獄寺君、声大きいから…」
 話しかけられたツナは口元に指を当てて宥める。目立つでしょ?何て言っているが、既に教室中の注目が集まっているので無駄だ。
「有難う。教えてくれて。お陰で間に合ったよ」
「そんな…!沢田さんのお役に立ててオレ嬉しいです!!感激です!!」
「声大きいから!」
 突っ込んだツナの声も十分大きい。
(テメェの仕業かぁ…!!後で殺す!)
 会話を聞いていたコロネロはシャープペンをへし折った。



 ―ガラリ。



 そんな中、又教室の扉が開いた。

「スミマセン。遅くなりました」

 そう言って息を切らせて入ってきたのは金髪の美丈夫。
 柔らかな笑みに教室中の女性(母娘)の視線が釘付けになる。
 女親が多い中、男一人では居心地が悪いのか彼はツナ達の方へ寄って来た。
(ツナに近づくんじゃねぇー!!)
 コロネロの手の中で2本目のシャ−プペンが折れる。
「女性ばっかりだな」
 苦笑いつつツナに話しかけると、ツナはそうですね、と同じように笑みを浮かべた。
(あ、馬鹿!笑ってんじゃねぇ…!)
 ハラハラとしながらコロネロが様子を窺っていると、案の定、金髪の青年の頬が薄っすらと赤く染まる。
「あ、その、オレはディーノっていうんだ」
「初めまして。オレは沢田綱吉といいます」
 何故か動揺したようにそう言ってきた相手に、ツナは柔らかな笑みを浮かべて対応する。
 コロネロはギリギリと歯軋りをした。
『おいコラ、リボーン!ディーノってお前の…』
 親代わりだろーが!何とかしろ!と言うつもりだったのに、言葉が途中で喉を逆走していった。
 リボーンの額に青筋が無数浮かび、目が全く欠片も笑ってない。全身から殺気が漂っている。

(怖!)

 コロネロが固まり、スカルが凍りついた。
 リボーンの口が動く。

 ―――ディーノ、抜け駆けしやがって…後で殺す!!

 コロネロはそっと視線をリボーンから外す。後できっと酷い目に遭うであろうディーノにほんの少し同情した。



 ―ガラリ。



 しばらく和やかだった教室に又、乱入者が来た。

 両目の色が違う。そして、髪型がおかしい。
 でも、それ以外は完璧な美青年だ。
 それは興味なさそうに教室を見渡し、ふと、教室の隅にいたツナのところで視線を止める。
(嫌な予感が…)
 するぜコラ、と続ける前にその美青年が動いた。
 驚くべき素早さで、教室を横断し、ツナの手を取る。
「初めまして。六道骸です」
「え?は、はい。初めまして?」
 ツナは事態がよく分かってないようだ。首を傾げながら苦笑いを浮かべる。
「こんな所でお会いできるなんて…運命としか言い様がありませんね」
 意味が分からない。

「突然ですが、僕と貴方は前世で恋人同士でした。付き合ってください」
「ふざけんなコラァァァァァ!!!!!」
「コ、コロネロ!?」

 遂に堪忍袋の緒が切れたコロネロが怒鳴った。骸に手を取られたままツナがオロオロとしている。
「何ですか?君は?僕達の愛の語らいに口を出さないで貰いたいですね」
「誰が恋人同士だ!離れろ電波!」
 獄寺が強引に骸と名乗った青年を引き剥がす。
「お前、誰だ?何しに来た?」
 ディーノも不機嫌に尋ねる。骸は何を聞くのかと言った風に息を吐いた。
「僕は仕事でここに来てるんです。スカル君という子の保護者代理として」
「オ、オオオ、オレの!?」
 スカルがショックを受けて振り返る。いきなり巻き込まれたスカルに先輩達の視線が突き刺さる。
「テメェ!沢田さんの白魚のような手に馴れ馴れしく…表出ろ!果たす!!」
「君如きに出来るとでも?」
「手ぇ貸すぜ」
 そう言って出て行った3人を見送り、ツナは引き攣った笑みを浮かべた。
「あ、あの、授業続けてください。オレ、止めてきますから…コロネロ、頑張ってね」
 そう言って出て行ったツナに、コロネロは怒りのやり場を失い、スカルを蹴ってから席に着く。
 担任の山本は『じゃあ、続けるなー。コロネロ、後でお父さん紹介してなー』と暢気に笑い、コロネロは苛立たしげにスカルをもう一度蹴った。(八つ当たり)



 授業も中盤を過ぎた頃。

 教室の扉が再び開いた。
 ドヤドヤとした足音に、先程出て行った親達が戻ってきたのだと全員が思ったが、扉を開けて入ってきた黒服の集団に絶句する。
「………何で、全員で来るの?」
 マーモンが小さな声で呻く。
「あ、いた!マーモン!おーい!」
 金髪に王冠を乗せた青年が手を振っているが、マーモンは無視した。
「あら、本当。マーちゃん来たわよー」
 そう言うのはスキンヘッドに前髪だけつけた男。
「―――椅子」
「はい、ボス」
 大柄にそう言った一目で堅気ではない顔に傷のある男に、ツンツンと尖った黒髪の男が何処から出したのか肘掛付きの椅子を差し出した。
 ドカンと腰を下ろす。
 力一杯土足で上がりこんでいるが、それを突っ込める勇気あるものはいない。
「う゛ぉぉい!さっさと始めろ」
 そう言ったのは長い銀髪の男で、大らかな担任は授業を再開した。
 だが、先程と違い、別の意味で教室中が静まり返っている。先程は桃色な春のような空気だったのに、今は真っ黒な冬のような寒々しさだ。
 もう、いいから早く終わってくれ。そんな教室中の願いも空しく、又、別の乱入者が現れた。



「ヴェルヴェルー。来ちゃったよー」



 暢気にそう言って笑う白い髪の男にヴェルデは固まった。
「最悪…何でよりによって…」



 そこに更に先程出て行った集団が戻ってくる。所々焦げているのは、まぁ、いろいろあったんだろう。
「スミマセン。もう授業終わっちゃいましたか?」
 心配そうに尋ねたツナに、担任はニッコリと人好きのする笑みを浮かべた。
「いや、まだ半分くらい残ってるから」
「そうですか。間に合って良かった」
 そう言ってツナは嬉しそうに笑みを浮かべる。

 コロネロは知っている。

 ツナが自分を可愛がっていてくれている事も、自慢に思っていてくれている事も知っている。
 今、嬉しそうに笑っているのだって、自分の学校での姿を見ることが出来ることを純粋に喜んでいるのだ。

 ちゃんと知っている。ちゃんと知っているのだ――――が、しかし。

(笑うなコラ!いいから、頼むから今はそのまま帰れ…っ!!)

 すごい嫌な予感がする。すっごい嫌な予感がするから………っっ!!!



 ―――しかし、神様は無情だった。



 そんなツナの笑みに見惚れた者がいた。2、3、4…数えるのも面倒くさい位いた。

「君、可愛いね。名前は?オレは白蘭っていうんだけど」
 そう言って目を輝かせて近寄っていたのは白い髪の男。僅かに興奮したように頬が紅潮している。
「ちょっと、退いてよ!うわぁ!超可愛い!超好み!オレ、ベル。職業は王子ね。お姫様の名前は?」
 白蘭と名乗った男を押し退けて、金髪に王冠を乗せた青年が割り込む。
「退け。――――おい、お前。名前は?」
 そこに顔に傷のある男が更に割り込み、ツナは目をパチパチと瞬かせた。
「ボスが名前を聞いているんだ」
 尖った黒髪の男にそう言われ、ツナはよく分からないながらに、ニコリと笑みを溢した。

「初めまして。沢田綱吉です」

 そう言って笑ったその顔に、目の前に立っていた強面の男の顔が赤く染まる。
 
「―――オレはザンザスだ。一緒に来い」

 いきなり腕を掴まれたツナは、疑問符を浮かべながら引っ張られていく。
「沢田さんを何処に連れて行く気だ!」
「ツナから、手を離せ」
「綱吉さんは僕の恋人ですよ!」
「誰か知らないけど、黙ってろよ電波!ちょっとボス!お姫様はオレが先に目を付けたんだからね!」
「無視しないでくれない?フレンドリーなのは嫌いじゃないけど、無能と無視は大ッ嫌いなんだ」
「うるせぇ、このカス共が…っ!」
 一気に殺気立ち、教室は戦場のようになった。
 そこに止めを刺すような人物が現れる。



「―――群れないでくれる?噛み殺すよ」



 突然現れた人物は、鋭く山本を睨み、山本は苦笑いを浮かべる。
「あー雲雀校長スミマセン」
「あ、校長先生ですか?いつもウチの子がお世話になっています」
 山本の言葉にツナが慌てて頭を下げた。そして、ニコリと笑う。
 雲雀はしばらく言葉をなくし、尋ねた。
「………誰?」
「保護者です」
「そう。じゃあ、応接室に来て。君から事情を聞くから」

「「「待てコラァァァァァ―――――ッッッ!!!!!」」」

 そのままツナを引っ張って出て行こうとする雲雀を争っていた全員が止める。
 その後は大乱闘だ。その乱闘は授業が終わっても終わることはなかった。

「…あー、今日はここまでな」

 担任の言葉と、チャイムが空しく響いた。









「凄かったね。『保護者面談』」
「………違うだろコラ」

 帰り道。
 本物の親子のように手を繋ぎ、コロネロとツナは一緒に歩く。

 今日は本当に散々だった。

 帰り際、悪友達は揃って自らを『コロネロの親友』、いや、寧ろ『心友』だといってツナに挨拶した。(いつからそんなモンになったのか聞きたい)
 その言葉にツナは『コロネロは沢山お友達がいるんだね』と微笑み、家に遊びに来てね、と誘った。冗談ではない。
 リボーンの『何ならお義父さんって呼んでもいいぞ』と言う言葉に、本気で切れて乱闘になった。
 誰が呼ぶか!!

 保護者達は名刺交換に勤しんでいた。ツナのポケットから溢れそうなくらいの名刺達にはそれぞれありえないほど輝かしい経歴が刻まれている。
 『お義父さんって呼んでもいいんですよ?』と、生温い笑みを浮かべた骸の脛を力一杯蹴飛ばしたコロネロを、ツナは微笑ましい目で見ていた。
 モテ過ぎる上に、無自覚なツナにコロネロの心配は尽きない。



「でも、お前の成長を見られて嬉しいよ」
「………。」



 頭を撫でる手に悔しさと、安らぎを感じる。
 子供扱いされて悔しい筈なのに、その温かさに安らぎを感じるのだ。
 コロネロは考えを振り切って顔を上げた。



「ツナ、腹減ったぞコラ」
「そうだねぇ。今日は何食べようか?」
「何でもいいぞ。―――ツナが作るものなら何でも、す、好きだから」



 そう言って手をギュッと握れば、優しい微笑と共に握り返してくれる。

 今はこれが精一杯だけど、いつかは、いつかツナの背を追い越したら手だけじゃなく全部を抱きしめるのだ。



 体も、心も、全部。そう、ツナの全てを―――。



 その為にはまず。

「ツナ、牛乳切れてるぞコラ」
「ん、そうなの?じゃあ、買っていくか」

 ツナの手を引っ張りながら、コロネロは思う。



 ―――――今は出来ることからやるだけだ。オレは意外と策士なんだぞコラ。



 コロネロが見事ツナを追い抜かすのは、そう遠い未来ではない。



【おしまい】




風囲さかな様のサイトの10万ヒット企画に便乗しましてゲットしてきたコロツナ親子パラレルです。
まさか自分のマニアックなリクエストを受け入れて下さるとは・・・!!さかな様 本当に有難う御座いました!!!
これからもストーカーばりにサイトにお邪魔させて頂きますね!(やめろ